あさって1月23日、常任指揮者を務める福井大学フィルハーモニー管弦楽団と定期演奏会です。共演はなんと7年目!本日付けの福井新聞でも演奏会のことを取り上げて頂きました。
昨年はコロナによって全く活動も出来ないまま演奏会中止になって本当に悔しかった。今年もまた、出来るかどうかの瀬戸際を何度も乗り越えてここまで辿り着きました。この一年半近くの活動停止期間に失われたもの(それは演奏のクオリティ以上に運営の諸々です)は膨大で、学生たちをこんなに叱咤した一年はありませんでした。
二年連続の中止は大学オーケストラ文化にとって危機なのです。とくに大都市圏でない地域においてはその影響はいっそうです。だから二年連続の中止を何とかして避けなければいけないが、しかしこの状況では、よほど強い復活への思いやノウハウがないとオーケストラ活動を再開することは難しい。学生たちの多くは大学に入ってからほとんどサークル活動もできないままなのですから、それが容易でないのは当たり前です。だから、学生たちにいつか火がつくことを願って、嫌われてもいいというぐらいの覚悟で、この一年はあれこれ言いまくりました。
その苦労はいま、報われたように感じています。ついにホールでのリハーサルを実現した先日。2年ぶりのハーモニーホールの壮麗な舞台で、私の愛する福井大学フィルのみんなと、大好きなヴァイオリニスト・大澤さんと一緒にブルッフのヴァイオリン協奏曲を奏でた時間は、「ああ、生きている!」と叫びたくなるほど幸せなものでした。頼りなかった幹部代の3年生は立派に演奏をリードし、はじめてこの舞台に立つ2年生たちが苦闘しながら自主的にセッティングし、昨年演奏会をできなかった4年生たちがその様子にアドバイスしているのをみて、心の底から感動しました。
そうなのです。結局のところ、誰か「先生」みたいな存在が一から十まで導くのではなく、主体である学生たちが自分たちで奮い立って動き始めるという流れを生み出さなければ!人と人のエネルギーが重なり合ったときの奔流こそが最も強く物事を動かしていくものだし、そうでなければならないのです。
昨年に共演した九州大学芸工オケの学生たちもまた、そうでした。彼・彼女たちは、定期演奏会の延期+無観客通達+練習回数不足を乗り越えて、フルプログラムの配信公演を実現しました。指揮者である私は、「絶対に諦めない」という姿勢を貫き、学生たちのチャレンジを受け止め続けたにすぎません。最終的には学生たちの「やるぞ!」という熱意と交渉力と創意工夫が決め手になって演奏会が実現しました。
いま、福井大学フィルハーモニー管弦楽団も、同じようなアツい熱量にあると確信します。現役生も、OBOGも、エキストラの方々も、なんとかして演奏会を実現するぞという思いでいっぱいになっていると思います。この状況ですので、私も移動をすべてキャンセルし、あらゆる予定をオンラインに切り替えて、福井に二週間近く滞在し続けています。学生たちの一度限りの演奏会実現のためなら何だってやるという思いでいます。今日は福井の佐佳枝廼社にお参りもさせて頂きました。どうか、どうか本番の舞台に立たせてやってほしい…。
長い道のりでしたが、なんとか明後日、開催できそうな見込みになってきました。最後まで危ぶまれる状況で中々お誘いもできませんでしたが、一同全身全霊を尽くしますので、福井大学フィル「復活」の響きをぜひお聞き頂けたら幸いです。