2022年、音楽に何ができるのか

あけましておめでとうございます。日本で年越しをするのは2年連続、しかも「笑ってはいけない」も放送されないということで、ディスプレイから離れてデジタル・デトックスをする年末年始となりました。いまこそ「絶対に笑ってはいけないオーケストラ」を企画したら良いのに…!笑

昨年はコロナ禍でもたくさんの方々に支えて頂き、数多くのコンサートと旅をすることができました。さらには、現在に至るまで40万人にお読みいただいた「大学オーケストラの危機」という記事で提言したように、コロナ禍において次世代の音楽の担い手が窮状にあるということに徹底的に向き合い、演奏・文章・企画など様々な面から、この窮状を緩和・解決するということに全力を注いだ一年となりました。

プロが活動できるようになったからひとまず解決、ではありません。むしろアマチュアや学生が活動できないと、これからの音楽文化の担い手が育たなくなりますし、結果的にプロの演奏会の聴衆を失うことになる。プロこそアマチュアの窮状解決に向けてアクションしなければいけない。そのことを強く主張し続けたつもりです。(冒頭で書いた「絶対に笑ってはいけないオーケストラ」も、決して冗談ではなく、こうした背景から提案しているもので、コロナ禍の今こそやるべきものだと思います。ご興味あれば日テレさんぜひご連絡ください。)

ともあれ、幸いにも、自分が関わらせて頂いている学生オーケストラやユースオーケストラのほとんどは2021年になんとか演奏会を開催することができ、2年連続の活動断絶を回避することになりました。もちろんこれは私が何かしたからではなく、「2年連続で活動できない」ということが長期的に甚大な影響を及ぼすということを理解してくれて、粘り強く動いてくれた学生さんや運営のみなさんのおかげです。エル・システマジャパンと東京芸術劇場で「運命」の演奏会を開催できたことは奇跡のようなことでしたし、活動停止と延期と無観客を乗り越えて演奏会を実現した九州大学芸工オケさんの粘り強さと集中力も素晴らしかったですね。

また、若手音楽家たちとともに昨年8月の「日本・モロッコ国交樹立65周年記念コンサート」や「キャラバン・ストリングス掛川ツアー」を企画実現できたことも嬉しいことでした。20代のはじめからずっと、国際交流や地域創生にかかわる演奏会の企画・指揮に取り組んできた身としては、コロナ禍でこれらを諦めるのではなく、創意工夫して異なった形で、しかし着実にこのコンセプトを活かした演奏会を企画したいと思っていました。旅することが容易ではなくなってしまった2021年でも敢えてツアーを組むことに挑戦したりと、いま出来る精一杯の形で、国際交流と地域創生に寄する演奏会を安全・安心に実現することができて本当に良かったと思います。

今年は35歳の節目を迎えることもあり、これまで撒いてきたものを形にする区切りの年となりそうです。上半期はヴィラ=ロボスについての単著の執筆と貴志康一の楽譜の校訂に集中し、下半期は関西フィルとの共演をはじめ日本国内での演奏会や、ヨーロッパ各地の音楽祭で指揮する予定です。ありがたいことに週末の予定は2023年まで埋まりつつあります。世界の友人たちとも久しぶりに会えることが楽しみですね。

自分に成し得ることは微々たるものかもしれません。しかし、自分にしか出来ないものが確かにあるということに、いくらかの自信を持つことができるようになりました。

大切な人や大切なものを大切にして、自分の人生をめいっぱい生きる。音楽に何ができるのかをどこまでも突き詰めたい。そんな2022年にしたいと思います。今年もどうぞよろしくお願い致します。

TANTI AUGURI DI BUON ANNO 2022!

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