吉行淳之介の魅力

小さい頃から吉行淳之介の作品が好きだった。「砂の上の植物群」「夕暮れまで」「闇の中の祝祭」などなど。陰りを帯びた世界の中で描かれる独特の危うさが好きだった。吉行淳之介を読んでみよう、と思い立ったのは、原田宗典氏の『おまえは世界の王様か』の中で、20歳ごろの原田宗典が吉行淳之介の『技巧的生活』の冒頭の文章に痺れたというエピソードに触れてからだったように思う。引用されているのはこんな文章だ。