日本・モロッコ国交樹立65周年記念コンサート終演!

日本・モロッコ国交樹立65周年記念コンサート終演!お越し頂いた皆様、ご一緒してくださった奏者の皆様、ご声援頂きました皆様、ありがとうございました。まずは無事終演のご報告と御礼を申し上げます。

トークでも少しお話ししましたが、モロッコと日本の間には「遠きものを思う気持ち」という感覚において強い共振があるように感じられます。それは恋愛であったり家族であったり望郷の念であったり…。今回の選曲テーマは<Song&Dance>でしたが、その裏では、こうした感覚を一本の軸として貫きたいという思考もありました。音楽には国境があります。我々はやっぱり裏拍がモロッコのみんなほど上手くとれないし、あのマジカルな旋律ラインは中々描けない。しかし、音楽の背景には国や人を超えて共振を生む何かが宿っている。わたしはそんな共振-resonanceを探り、プログラムと演奏という形でこれからも提示していきたいと思います。

そう、resonanceなのです。ゆえに今日お配りしたパンフレット冒頭には、指揮者のプロフィールなど儀礼的なものを一切カットして、そのかわりに、私に強いresonanceを与えた「謎」のような文章を日本語・英語の両方で置かせて頂きました。

 わたしはただちに強い興奮に襲われた。まるで陸の風景が近づいてくるにつれて、軀の内側に仕掛けられていた装置が作動するかのようであった。はっきりとした念を抱いていたわけではなかったが、地上のどこかしらには、他のいかなる場所にもまして魔法の魅力を湛えた場所があると、心の隅では理由もなく信じながら、そのためにこの世界に自分が存在しているのだと思ってきたのだった

 (……)そして今、山並みを前に風の中に立ってみると、心の奥で装置が動き出すのが感じられた。まるでいまだ問われてもいない問いの解答だけを、一足先に鼻先に突きつけられているかのような気がするのであった。

         ポール・ボウルズ『止まることなく』(山西治男訳)

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“Straightway I felt a great excitement; much excited; it was as if some interior mechanism had been set in motion by the sight of the approaching land. Always without formulating the concept, I had based my sense of being in the world partly on an unreasoned conviction that certain areas of the earth’s surface contained more magic than others. Had anyone asked me what I meant by magic, I
should probably have defined the word by calling it a secret connection between the world of nature and the consciousness of man, a hidden but direct passage which bypassed the mind.

[…] And now, as I stood in the wind looking at the mountains ahead, I felt the stirring of the engine within, and it was as if I were drawing close to the solution of an as-yet-unposed problem. ”
     
                 - Paul Bowles, Without Stopping

それは、ポール・ボウルズがはじめてモロッコのタンジェを訪れたときの印象を記したものです。(同行者はアーロン・コープランド!)わたしは四方田犬彦『モロッコ流謫』でこの一節を知り、しばらく動けなくなるほど感動しました。そこにはボウルズの実存的問いも含まれているわけですが、同時に、あの文章より見事にモロッコの魔術的な魅力を射抜いたものはないのではないかと思います。私がモロッコに初めて降り立ったときに得た感覚もそれに近いものがあったと気付かされたのです。まさしくresonanceを覚えたわけですね。

コンサート全編は後日Youtubeにて配信予定です。この配信に先立ちまして、ご声援を頂いた皆様やモロッコの友人たちへの御礼の気持ちをこめて、昨日のアンコールに演奏した、我が友人Adnane Matrone編曲「モロッコ・ダンスNo.2」をお届け致します。カサブランカで非常にポピュラーなMarsaouiという曲のオーケストラ・アレンジで、とっても盛り上がりました。両国の絆が音楽でより強固なものとなることを心から願ってやみません。

One thought on “日本・モロッコ国交樹立65周年記念コンサート終演!

  1. 芳賀英幸

    木許裕介 様
    あらためまして、先日のすばらしいコンサートをありがとうございました。また、先程はTwitterの拙文にご返信をいただきまして恐縮しています。Twitterは字数が限られていますので、こちらにしました。私は現在、小学校教師を退職後は続けて講師として勤務していますが、その勤務校の校歌の作曲者は渡辺浦人です。「野人」を生の演奏で聴いて、その印象を子供たちに伝えたいと思いましたが、モダンで強い推進力を感じました。「波の盆」もTwitterに取り上げたばかり、岩城宏之は涙を流しながら指揮していたという逸話を思い出しながら聴いていました。そして、恥ずかしくて書けませんでしたが、「東洋の舞姫」では中間部、テーマが弦で戻ってきたところで、うっすらと涙が…感動の一言ですが、演奏が良かったせいでしょう!若い人達の多いオケメンバーでしたが、1日前のリハーサルだけとは信じられない、クオリティの高さでした。タンブッカの件は正直気が付きませんでしたが、間違いなく演奏効果をあげていて、須賀田が聴いていたならきっと喜んだことでしょう!長々と書き連ねてきましたが、本当にコロナ禍という厳しい条件の中でいろいろと大変だったと思いますが、大きな喜びを与えていただき感謝申し上げます。蛇足のようになりましたが、モロッコの音楽も楽しく聴くことができました。ボウルズの「モロッコの音楽」も入手したいと思っています。あと願わくばコンサートの音盤化を期待しています。なぜNAXOSは「東洋組曲」を全曲録音しなかったのか、理解に苦しみます。それでは長々と失礼しました。木許氏の今後の活躍をお祈りいたします。また、応援をさせてください!

    HIDEMA H 芳賀英幸

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