サウナ・スパプロフェッショナル(管理士)取得!

実はサウナが大好きです。オミクロン株の影響でリハーサルが無くなってしまった一日を使って、こんなディプロマを取ってみました。誰でも取ることが出来るものなので、これを持っていたからどうということは無いのですが…(笑)

ともあれ近年、自分のコンディショニングにとってサウナは無くてはならないものになっています。旅が多い仕事柄どうしても移動で身体が固まりやすく、宿泊先でマッサージを受けたり自分でストレッチしたりと色々ケアしてきたのですが、サウナがあるとケアが随分としやすいということがこの数年で分かってきました。

リハーサルやコンサート終わりには「身体はぐったり・頭はハイ」みたいな状態になることがあって、興奮状態が覚めず頭の中でずっと音楽が流れていて中々眠れない、ということも多々あるのですが、そんなときにも自律神経を整えてくれるサウナはとても効果的です。ある意味で強制リセットをかけてくれます。

それから、(こんな使い方をする人は特殊だと思いますが)サウナは暗譜の確認にちょうどいいのです。映像記憶型の私の場合、本や楽譜を頭のなかで撮影して保管するように記憶していきます。細部を引き出すときは、google mapをズームするみたいな感覚になります。そのズームイン・アウトのトレーニングをサウナでやるんですね。

しかも、サウナに入ったら約12分のセットを過ごすわけですが、12分というのは、交響曲や協奏曲の1楽章分を頭のなかで反芻していくのにちょうど良い時間なのです。そのとき思い出せないところも水風呂に入って外気浴しているあいだにふっと浮かんできたりします。そしてこういった形式の音楽は大体において三楽章か四楽章で書かれているため、サウナの目安である「3セット程度」にもぴったりなのです。

そう、サウナは暗譜にちょうどいい!これは未だ誰も言ったことがないのではないでしょうか(笑)そんなこともあって、コンサートが近づくとサウナ通いが増える日々を過ごしています。

暗譜だけでなく原稿を考えるのにもサウナはぴったり。スマホから離れて外部からの連絡も断つことができるので、気が散らず、集中したいものに集中できます。この間発売されたばかりの「クラウジオ・サントロ 交響曲第5番&第7番」(ナクソス・ジャパン)の解説はほとんどサウナで書きました。今年後半には初の単著が出る予定なのですが、この原稿に行き詰まった時はサウナでブレイクスルーを試みています。もはや巻末のスペシャル・サンクスに「全国のサウナ」と書きたいぐらいです。つまりサウナは、頭のなかに素材を叩き込んだのちに刺激を加えてシャッフルする場として有効に機能するんですね。

などなど、サウナのことを語り始めるといくら字数があっても足りませんが、コンサートツアーのたびに各地のサウナを訪れているので、最近行って良かったところをちょっとだけご紹介します。


・東京:サウナタウン下北沢
→期間限定の野外テントサウナ。友人たちとプライベートサウナエリアを借りて行きましたが、めちゃくちゃ良かった…。110度ぐらいのテントサウナに「しきじ」監修の薬草ロウリュやお茶ロウリュ、シングル水風呂。遠くから聞こえてくる下北沢の喧騒…。期間限定と言わずにずっとやってほしいぐらいでした。

・大阪:アムザ
→欲しいものがちゃんとある、という感じのサウナ。水風呂の温度バリエーションが素晴らしいのですが、そのうちの巨大な水風呂では水槽の魚になった気分を味わえます。ドヴォルザークの暗譜はここで完成させました。

・福井
ゆけむり温泉 ゆ〜遊
→アウフグースが気合入っていて良いです。水風呂泉質よし。雪の時期の外気浴が最高。屋根の雪がときどき落ちてきて風情がありました。ついシベリウスの勉強をしたくなります。

おふろのデパート たきのゆ
→ザ・銭湯という感じで長い歴史を持つお風呂屋さんですが、信じられないぐらい綺麗に磨き上げられています。はじめて伺った際、感動しました。高濃度炭酸泉を挟んでからのサウナ(コンパクトでロウリュもないけど体感温度は高い。しかし過ごしやすい)がおすすめ。水風呂は17度ぐらいとマイルドですが、なんと深さ110cmもあるのでぼーっとすると沈みます(笑)地元の人々に長く愛されるのも納得。これで520円はすごい!


・高松:ゴールデンタイム高松
→ラドン湯からのサウナの組み合わせが大変にgood。セルフロウリュ可でプライベート感覚のサウナもあって、こちらはテレビなしの暗め設定なのが最高。(職業柄、音がどうしても気になるので、普段から耳栓とサウナハットで音をできる限り遮断して入っています)ちなみにここには酸素カプセルならぬ酸素ボックスがあって、酸素ボックスで45分じっくりストレッチ→サウナのコンビネーションが最強でした。ヴィラ=ロボスのギター曲についての原稿はここで書いたようなものです。

静岡:清流荘
→最高に静かで、瞑想的なサウナ。80年代にフィンランド人が作ったケロサウナが、敷地内のちょっと離れたところにあり、無用な音楽もテレビも流れておらず静寂が保たれている。照明も素晴らしい。小窓から入ってくる光と、わずかな間接照明だけ。ロウリュ可能だが、肌に刺さるような熱波というより木に跳ね返った柔らかい熱波が届くというのがまた良し。整いスペースは日本とは思えない景色。セブ島を思い出した。


そういえば、先日にJALにお世話になったとき、JAL機内誌SKYWARDに作家の浅田次郎先生がサウナのことを書いていらしてめちゃくちゃ面白かった。「最近流行りの<サウナー>なんて甘い、こちとらアスリート並みの<サウニスト>で年季入ってるぞ。ほとんどの原稿はサウナで書いたぞ!」というような内容(意訳)で、機内で思わず平伏しました。先生もやはり原稿をサウナで着想されていらっしゃったのか…。

2月になってから、ほとんど自宅に帰ることができず日本各地で指揮や講演していましたが、全国各地を旅する職業だからこそいろんなサウナをエンジョイできてとっても幸せです。これからもサウナを愛する皆様の末席に加えて頂きながら、浅田次郎先生のような<サウニスト>を目指して、音楽とサウナの旅を楽しんでいきたいと思います。(追記:3月号の機内誌でも引き続き浅田先生のサウナ考察が展開されています。続々編もあるそう…?!)

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