Worldship Orchestra正指揮者を退任致しました。

昨日を持ちまして、Worldship Orchestraの正指揮者の職を辞することに致しました。スタートアップから一年半、出来る事を全力でやってきました。まだまだ課題は山積みであるものの、ひとまず私の果たすべき役割を終えたと判断した結果です。退任にあたって文章を寄せましたので、どうぞご覧下さい。理事のお二人からもメッセージを頂きました。

離れることには寂しさもあるのですが、これまで参加してくださった皆さんとの関係が変わるわけではありません。船を降りて「岬」から、WSOのことをずっと応援しています。

別れとは、常に誓いを追悼すること。詩の最後の一行。Partir…c’est toujours le deuil d’un vœu, le dernier vers d’un poème. 一年半ありがとう。

メッセージはこちらからご覧下さい。私の執筆した文章のみ、本サイトにも掲載致します。

 

退任のご挨拶

2016年5月22日を持ちまして、Worldship Orchestra正指揮者の職を辞することと致しました。 代表の野口くんの夢に共感し、創設から関わって1年半。マニラに3回、カンボジアに2回と合計で5ツアーを指揮させて頂き、パイレーツ・オブ・カリビアンにボロディンの2番、韃靼人の踊り、ラターのマニフィカート、ベートーヴェンの5番、ラプソディー・イン・ブルーと、数えきれないほどの曲を指揮させて頂いてきました。月によっては日本に滞在している日数のほうが少ないときもあるほどで、指揮棒片手にアジアを駆けめぐった一年半でありました。

この団体をWorldshipと名付けさせて頂いたとき、最初は本当に片手に収まる人数からはじまった団体だったことを思い出します。ちょっと壮大な名前にしすぎたかな。そんなことを考えたこともありましたが、だからこそ、Worldshipという名前に見合うぐらいの団体になるまで力を尽くし続けることを私の一つの目標として、今日までの日々を過ごして参りました。まだまだ課題は山積みではありますが、一年半を経て、日本国内で述べ300人以上の奏者に関わって頂き、アジアの4か国を巡る船団となったことに、深い充実を覚えています。

最後に指揮したのは、マニラのリザール・パークにおけるカール・オルフ『カルミナ・ブラーナ』、そして滋賀での国内演奏会にて指揮した金森詩乃『Worldship』になりました。合唱とオーケストラによる凄まじい熱量を持ったカルミナ・ブラーナと、作曲者と共に一から作り上げて来たこのテーマソングが、自分にとっての区切りとなったことを幸せに思います。

船出から1年半、苦しいときも幸せなときも沢山の経験がありましたが、運営のお二人と共に知恵を振り絞りながら、そして参加者の皆さんの温かいサポートに支えられて、荒波をひとつずつ乗り越えてきました。既存のやり方や常識にとらわれることなく、聴いて下さる人たちを巻き込んで行くためにはどうすれば良いか。参加して下さる人にとっても忘れ難い時間になるためにはどうすれば良いか。全てが手探りでありましたが、正指揮者として私がいついかなる時でも大切にしようと努めてきたのは、貫徹する思想や物語の宿されたプログラミングを心がけると共に、Convivialityとも言うべき、共に音楽する仲間を愛することや、心の通う「チーム」を作ることでした。頂いた沢山の色紙やメッセージを読み返しながら、それだけは揺るがずに達成できたかなと感じています。

これからWorldship Orchestraは新しいステージへと歩んでいくことでしょう。このオーケストラと共に一年半過ごさせて頂いた日々を糧に、私もまた、新しいステージへと挑戦していきたいと思います。創設から一緒に日々を過ごしてきた野口くん、農澤くん。そしてこれまでWorldship Orchestraに参加して下さった方々、様々な形で応援してくださったみなさま。これまで本当にありがとうございました。私の20代後半の日々は、疑いなくWorldshipと共にありました。経験したもの、出会えた人たち、すべてが私にとっての宝物です。

さようなら。またいつの日か。愛してやまないWorldship Orchestraの更なる発展を心より応援しつつ、退任の挨拶とさせて頂きます。

Worldship Orchestra正指揮者
木許裕介

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