ヴィラ=ロボスの交響曲全集がYahoo ニュース(CDジャーナルから)に載る日が来るとは…!12月18日、ナクソス・ジャパンから、ヴィラ=ロボスの国内盤初のヴィラ=ロボス交響曲全集のCDが発売されます。この交響曲全集の推薦文と解説と歌詞の翻訳を書かせて頂きました。
推薦文は下記です。
「フォルクローレとは、私のことだ。」そう豪語したヴィラ=ロボス。大らかで型破りなこの作曲家にとって、交響曲という形式は最適のものではなかったかもしれない。しかし、だからこその面白さがある。炸裂するインスピレーションが形式と衝突し、ときに形式を超克しながら、彼ならではの世界が立ち上げられていく。すべての交響曲(第5番は楽譜消失のため実質11曲)を聞くことで見えてくるものがある。彼にとって交響曲とはいったい何だったのだろうか?彼は何に苦闘し、何を実現しようとしたのだろうか?ヴィラ=ロボスという作曲家を考えるうえで必聴の交響曲全集、ついに発売! (日本ヴィラ=ロボス協会会長・指揮者 木許裕介)
駐日ブラジル大使館様にも下記のようにご紹介を頂いております。
「ナクソス・ジャパン(@naxosjapan)は、ブラジルの偉大なる指揮者兼作曲家エイトル・ヴィラ=ロボスの交響曲全集 を12月18日に日本で発売すると発表しました。日本ヴィラ=ロボス協会(@villalobos.jp)もリリースに協力していて、マエストロ・イサーク・カラブチェフスキー(@isaackarabtchevskyoficial)の指揮の下でサンパウロ交響楽団(@osesp_)が演奏する交響曲の歌詞の和訳や日本語解説がつきます。 マエストロ・ヴィラ=ロボスを始めブラジルのクラシック音楽を代表する音楽家についてもっと知りたい方は、当プロフィールハイライトおよびIGTVチャンネルにて、シリーズ「ブラジル再発見:クラシック音楽!」をご覧ください。「THE MUSIC OF BRAZIL」プログラムの下、日本ヴィラ=ロボス協会所属の音楽家による演奏を配信しております!」
日本ヴィラ=ロボス協会をやっていて、解説を書いた自分が言うのも変な話ですが、今回の交響曲全集はクラシック音楽のなかではマイナーな部類に入ると思いますし、ヴィラ=ロボスの作品のなかでもあまり聞かれないものだと思います。しかしながら、なぜか(なぜだ?!)異様な盛り上がりを見せておりまして、タワーレコードオンラインのクラシックチャートでヴィラ=ロボス交響曲全集の輸入盤が第1位、国内仕様盤が第5位と、両方ランクインするという事態が起こっています。タワーレコード系のオンラインサイトでもご紹介を頂きました。
交響曲全集の解説を執筆するのは、正直なところ相当に困難でした。日本語の纏まった解説はこれが初。日本語の研究はほとんどありませんから、ポルトガル語と英語、フランス語の研究を中心に取り寄せてリサーチ。ましてや、字数のこともあるので全12曲(実際は11曲)に個別の解説をつけることはほぼ無理といっても良い。このなかでどれだけヴィラ=ロボスの交響曲の魅力をお届けすることが出来るだろうかと考えた結果、「全集ならでは」の試みとして、全交響曲を俯瞰しながら作曲家の人生の中に位置付けるような解説を書くことを目指しました。
交響曲第10番「アメリンディア 」とカンタータ「マンドゥ=サララ」の訳詞も担当しましたが、これがまたとんでもなく難しい!ラテン語、ポルトガル語、トゥピ語など先住民言語諸語が混じり、かつブラジルの民族伝承などが踏まえられた歌詞を日本語にするのは至難でした。語一つ一つに関して膨大な資料を取り寄せ(アルマジロについて自分がこんなに調べることになるとは思いもしませんでした!)そのニュアンスを原文に縛られすぎず、しかし離れすぎずにお伝えできるようにと苦心したつもりです。各言語およびキリスト教の専門家の方々やブラジル大使館のみなさまにもたくさんのアドバイスを頂き、大変に助かりました。
依頼字数内での原稿と、字数をオーバーした原稿の両方を参考としてナクソスさんにお送りしたところ、「国内初の交響曲全集ですので削るのはもったいない。フルに行きましょう」と言って頂けたこともありがたいことでした。36ページという異例のブックレットに仕上げて下さった浅野様はじめナクソスの方々に心から御礼申し上げます。
コロナ禍での私の数ヶ月を凝縮した仕事として、音楽を愛する皆様に少しでもこの曲の魅力が伝わればと願います。至らないところもあるかと思いますが、どうぞお手にとって頂けましたら幸いです。