終演!東京文化会館コンサート

東京文化会館でのコンサート、大盛況のうちに終演致しました。聴きに来て下さった皆様、共演してくださった皆様、そしてスタッフとしてサポートしてくださった沢山の友人たちに、心から感謝致します。

「パリの痕跡」というテーマに基づいたプログラミングは勿論のことながら、プログラムノート全曲の執筆からチラシやパンフレットのデザインまで全て自分でやらせて頂き、非常に充実した時間でした。作曲家の友人から、「こんなに充実したプログラムノート久しぶりに読んだ」と言って頂けて満足。舞台転換のあいだのトークもアドリブで結構お話させて頂くことになったのですが、楽しんで頂けたようでほっとしました。駐日ブラジル大使ご一家からも、Lovely Concert!!と大変に嬉しいご感想とご好評を頂いて、一安心という気持ちでおります。

コンサートが近付くにつれ、自分のコンサートなのだからもうやりたい放題やって自分の色に染め上げてみよう、と思いたち、入り口のポスターをコンサート前夜に作って、出演者のサインを入れて掲示したりしてみました。 UUUオーケストラ2014年マニラツアーに参加していた方は「!」と閃くと思うのですが、これはフィリピンのBell Vue Hotelで演奏させて頂いたときにやってみてとてもいいなあと思ったので、この機会に取り入れてみたのです。写真家・栄田康孝氏に撮って頂いた写真とあいまって、印象的な掲示になったのではないでしょうか。多くの方々がこのポスターの前で写真を撮って下さっているのを見て、嬉しい限りでした。「人間が感じられるコンサート」ということにこれからも拘っていきたいと思います。

マニラ・スタイルのポスター。
マニラ・スタイルのポスター。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またプログラムノートは後日公開しようと思うのですが、ひとまず当日のプログラムを掲載しておきます。

<パリの痕跡 – La trace de Paris>
三枝成彰:チェロのためのレクイエム(震災のためのレクイエム)
ピアソラ:フーガと神秘
カザルス/カタルーニャ民謡:鳥の歌
プーランク:ピアノと木管五重奏のための六重奏曲
ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第6番
ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第5番より「アリア」
ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第1番

「パリの痕跡」というタイトルに篭めたメッセージ。伝わったでしょうか。幾分不思議なこのタイトルは、東京大学大学院で学んだ知(19世紀末-20世紀初頭フランスの比較芸術を専門にしていました)と、音楽の現場で血肉とし たものとを融合させた結果を示したい、という私なりの挑戦です。プログラムノートには敢えて書きませんでしたが、フランスのピアニストであるエリック・ハイドシェック先生が指揮をやるように薦めてくださったのが私が指揮を学ぶきっかけでした。その意味でも、あの日、東京文化会館の舞台に立てたことは、「私にとって」パリの痕跡を宿したものでもあったのです。

リハーサルにて
リハーサルにて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聴きに来て下さった方から頂いた感想を、いくつかここに掲載させて頂きます。素敵な感想を頂いて演奏家冥利に尽きます…。

 

はじめの音から涙が溢れた演奏会は初めてだった。

 

 

ブラジル風バッハ1番の冒頭、綺麗すぎて泣いた。あっという間に世界を陽に変えてしまうエネルギー。

 

 

木許先生の演奏会、トークもプログラムの文章もあんなに面白いのはさすがとしか言いようがなくて、どこかしこに抜け目ないエスプリが光ってたの。プーランクの六重奏は気が利いてて、夜の遊園地に咲く花火みたいだったし。すてき。

 

 

終わって真っ先に感じたのは”甘い郷愁”だった。甘くてやわらかい、夕陽がとろけるようなノスタルジー。演奏終了後に思わず手を当ててしまうほど、胸がいっぱいになりました。始まってすぐ思ったのは、以前聴かせていただいた時よりすごく音が洗練されているなと。もしかすると音楽の動かし方が前とは違うのか、大きな波を全体でつくるというより、いろんな音に細かく仕掛けて動かしているように聞こえました。より繊細というか。かつ、後輩なのに本当に生意気ですが、音が若さだけじゃなく落ち着きも兼ね備えて、ぐっと大人っぽくなっていたような。。魅せるだけじゃなくて惹き込むような、大人の色気みたいなものを感じました。

 

 

奏者の方々も素晴らしかった!コンマス黄原さんのチェロはすごく繊細で優美さがあったし、Fg浦田さんは楽器の鳴らし方が本当にすごくてびっくりした。どんな息のコントロールしたらあんな風に操れるんだ。Ob近藤さんは音がとっても綺麗で澄んでて心が洗われるようだった。みなさんすごい!

 

 

プログラムやコンサートの進行もすごく良かったです。好き勝手に推測するのも楽しいけど、意図とかどんな思いで作り上げたか聞けるのは嬉しい。プログラムノートは全部木許さんが執筆されていて、文章の魅力がすごい。コンサート中、多くの人がプログラムを読みながら聞いているのも印象的。

 

「チェロのためのレクイエム」プログラムノートを見る前に、すぐに鎮魂曲だなと分かりました。心にすっと染み込んで優しく寄り添ってくれる感じが、なんとなく日本っぽさなのかなと思ったりもして。レクイエムだけど、すごく優しくて穏やかな気持ちにもさせてくれた。

 

「フーガと神秘」曲の中で描かれるグラデーションがとても綺麗。よくよく聞いてみると音が複雑に折り重なってて、むずかしいー……!と思いました。移り変わる風景を描いているようで、なんだかわくわく。

 

「鳥の詩」コンマス黄原さんが、みなさんの平和を願って、と演奏された曲。この曲すごく好きでした!音に乗せて思いがすごく伝わってきた。

 

六重奏曲、すこしクラを吹いていた身としては、これ指揮者いなくてまとまるのすごすぎる……とただただ驚愕。めっちゃ組み上げていくの難しそう。。第二楽章にパリを感じました。フルートが技巧的すぎて、譜面見たいけどこわい!笑

 

「ブラジル風バッハ」全体を通して甘くて切なく、なぜか懐かしい。軽やかさと重厚さのバランスが絶妙で、鮮やかに表現していらっしゃるなと思いました。アンコールの四番はやっぱり綺麗で、涙が零れました。不思議な魅力なのですよね…心に響いて、感動しました。

 

木許さんの指揮は不思議で、普段思い出せない記憶の引き出しがたくさん開けられる感じがする。どうして今思い出すんだろう、みたいなことがたくさん起きる。それだけたくさん感情が揺さぶられてるんだと思います。

 

愛してやまないヴィラ=ロボス
愛してやまないヴィラ=ロボス「ブラジル風バッハ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンコールには、私を指揮の道へ導いてくださったヴィラ=ロボス「ブラジル風バッハ四番」の前奏曲を。涙したよと飛びついて来てくれる友人たちに終演後会えたのが幸せでした。魂に触れるものがあったら、これ以上の喜びはありません。最後になりますが、あの場所に立つことが出来たのは、そもそもの機会を下さった岸さんのおかげであり、今日ここに至るまで指揮させて頂いたオーケストラの 皆さんのおかげです。今も昔も変わらず未熟な私に、勉強する機会を下さってありがとうございました。

カーテンコールで奏者の皆さんからサプライズで頂いたお花に、終演後の懇親会でこれまたサプライズでお祝いして頂いた誕生日ケーキ。本当に幸せな一日でした。今日はひとつの夢を叶えた日であり、同時に、出発の日でもあります。これからも指揮者として沢山の舞台を経験していきたいし、日本ヴィラ=ロボス協会として、こうしたコンサートを沢山企画して行きたいと燃えています。関わって下さった方々に心からの感謝を。これからもどうぞよろしくお願い致します。

 

指揮 木許裕介

Misaki Memorial Ensemble
Misaki Memorial Ensemble

 

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