Festival Eurochestries International Vol.5

ファイナルコンサートを終え、無事に帰国しました。今できる限りのことをやってこれたと思います。そして今回の国際音楽祭を通じてたくさんの友達と経験を得ることができました。

コンサートの様子や、クロージングの記者会見の様子は、現地のさまざまなメディアに取り上げて頂いたようです。

記者会見でも話したのですが、帰国に際してPCR検査が必要な日本の現状では、国際音楽祭への参加、それも330人の若者たちと2週間共に過ごすというのは相当にリスキーでした。しかし、それでもこの閉塞した状況をこじ開けなければいけないという一心で渡航しました。

久しぶりに海外に出てみて思ったのは、このままでは日本はどんどんガラパゴス化するという危機感でした。賛否両論あるにせよ、海外の若者たちはもうどんどん動いて、次のステップに行っている。このまま活動を制限され続け、日本に閉じこもっていては、日本の若者たちは世界に置いていかれる。とにかく焦りを覚えました。

現地でひとりだけマスクをつけたり、楽しい催しを断ったりするのは心苦しかったけど、陰性の結果を見たときは合格発表なみに嬉しかったですね。日本固有の状況を理解し、可能な限りのサポートをしてくれた音楽祭のスタッフやオーガナイザーの皆さんにも心から感謝です。

とくに、招聘指揮者の同僚イヴと作曲家のエティエンヌからは特に多くのことを教わりました。招聘指揮者として、イヴと私が合同オーケストラのリハーサル時間配分や曲順を決めて、毎日のミーティングを進行していったのですが、イヴとは物事の考え方の順序が同じで、本当にやりやすかった。音楽的にも大尊敬していて、複雑なリズムを難なく捌く彼のソルフェージュ力には何度も感動を覚えるほどでした。

また、作曲家のエティエンヌは、今回初演の彼の作品の楽譜を見た時から凄いなあと感じていたのですが、彼がオーケストラ・ナビゲートをするのを聞いて感動しました。モーツァルトの「魔笛」を用いて、単なる楽器紹介ではなく、作品の構造さらには「スタイル」の歴史的変遷を簡潔に提示するという離れ技をしていて、学ぶところばかりでした。この方法は彼と話していろいろ教わってきたので、ぜひ日本でもやってみたいところです。

とにかく、S’ il y a problème, il y a solution.(問題はない、解決策だけがある)の精神を共有する二人と様々な事態に柔軟に対処するのは楽しく充実した日々でした。

解散式を終えて、オケのみんなと「近いうちに世界のどこかで!」と約束して別れ、羽田に到着。再びすぐに飛行機で関西へ向かい、シンフォニーのリハーサル三日間連続、そして神戸市混成合唱団さんとのリハーサルです。まだまだ旅は続きます。自分にしか成し得ない毎日を送り続けたい。人生は有限。めいっぱい使い切ります。

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