福井大学フィル第68回定期演奏会 中止のお知らせ

指揮して6年目になる福井大学フィルハーモニー管弦楽団ですが、今年度(2021年1月24日)に予定されていた第68回定期演奏会は中止となりました。この6年、全身全霊で指導してきただけに、ぽっかり心に穴が空いたような気持ちです。私ですらそうなのですから学生たちにとっては一層でしょう。彼・彼女たちの落胆や悔しさを思うと、悲しくてたまりません。

春先から活動ができない状態が続き、このままではマズイと学生たちも懸命に考えてくれました。せめて活動再開の際にスタートダッシュをかけられるようにという思いから、今年の定期演奏会のメインであったドヴォルザークの交響曲第6番の分析や楽典の基礎など、学生指揮者さん向けに私も合計12時間近くにわたるオンラインレクチャーを行うことで一緒に下準備をしてきました。しかし、大学や部室に入ることができない状態が春から今までずっと続いていては、楽器を取ることも練習することもできません。(多くの団員は団の楽器を使用しています)

ましてや、福井大学フィルは大学から楽器をはじめる学生が七割。春から冬までの猛練習によってステージに立つまでになっていますが、それも今年は全くできず。そして福井の現状や風潮を鑑みると、万が一感染者が出てしまった際に学生たちと団体(およびその周辺)に及ぶリスクは様々な面で極めて高いと言わざるを得ません。福井大学が相当に慎重になっているのも、こうした背景を考えると分からないではないのです。ある意味では学生たちを守ってくれているわけです。

しかし他の団体もそうであるように、大学オーケストラにとって、一年穴が開くということは団に甚大な影響を及ぼします。一からのスタートになるというと言い過ぎかもしれませんが、正直言ってそれに近いぐらいの影響があると思います。

少しでもその影響を減らして次の代に引き継ぎたい。安全を確保した上で、定期演奏会という形は無理でも、何か今年の代とこれからの代のために出来ることがないか。ひいては福井という街の活性化に何か貢献できないか。悲しみをバネに今はそんなことを考えています。

この街に関わってまだ6年かもしれないけど、私の20代後半を迎えてくれたこの街は、自分にとって第二のふるさとのような場所になっています。福井のおかげで素晴らしい自然と食、職人的な精神と暖かい人たちにたくさん巡り会い、多くのことを教わりました。音楽だけでなく、街の灯が消えていくのを見ているだけにはなりたくありません。

何とかしようと一生懸命動き、最後まで可能性を模索しながらも、この苦しい判断を下した学生さんたちを誇りに思います。そして、然るべき時に必ず仕掛けます。倍返しだ、とはこういうときに使うのでしょう。みなさま、その際にはどうかお力をお貸しください。絶対に諦めない!

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