全4回、福井大学フィルの学生指揮者さん向けにはじめたオンライン講座完結!!ドヴォルザークの交響曲第6番の分析を通じて、楽式、和声、対位法などの基礎までレクチャーしちゃうぞという無謀な内容でしたが、学生たちはしっかり着いてきてくれました。
全4回で作成したスライドは、なんと75枚!私のこの曲に対する現在の「譜読み」をすべて公開しつつ、最後には、カンディンスキーとマティスとクレーの三枚の絵を用いながら、1回目の授業で話した音と音楽の隔たり、諸芸術の連関の話に。この講義は交響曲についての講義でしたが、実は、講義自体が交響曲の如くなるように設計することを目論んでいたのです。名付けて、シンフォニック(交響的)・レクチャー。なかなか演奏できないぶんのエネルギーを注ぎ込んだ、渾身の講義になりました。
すぐれた講義は、素晴らしい演奏を聴いたときと同じように身を震わせるものです。「なんということだ!」と叫びたくなるような、ガツーンとやられるような衝撃。学生時代に受けた金森修先生の哲学講義や小林康夫先生の表象文化論道場は、まさにそういう時間でした。自分はまだそれには遥か及びませんが、そういう感動や衝撃が幾らかでも宿るような講義を目指したいな、と改めて思った次第です。