「大学オーケストラの危機」のあとに。

ちょっとした覚え書き。各地の大学オケを指揮していると、色々な点でコロナ禍の約3年の影響を感じることがある。ようやく活動が再開できても、それまでのようにはいかないという苦労が沢山出てきているように思う。たとえば、コントラバスの現役団員がゼロ(コロナ以前は数人いたのに)という大学オケが散見されるようになってきたこと!

これは間違いなくコロナ禍が大学オーケストラに「時差的に」影響を及ぼしたことだ。この数年、部室への立ち入りが禁止されたり大学での練習が禁止されたりしたことによって、コントラバスという楽器に触ることができた時間が随分と限られてしまったことが、この現象を引き起こしている原因の一つであろう。大学オケのコントラバスは、初心者から挑戦する人が結構多いパート。経験者であっても、自分のコントラバスを所持している学生さんはそもそも少ない。となるとコントラバスを団から借りるのが一般的だが、それを持ち帰って練習できる自宅環境がある学生さんは稀だ。

大学校内が使えないとなったときには、どこか近場で練習場所を探さざるを得ないが、ただでさえ輸送が大変な楽器だから、ヴァイオリンやチェロと同じようにはいかない。となると、初心者から「あえて」この楽器に触れてみようとする学生は必然的に減ってしまう。

今はもう大学の楽器や施設を使えるではないか、というご指摘もあるかもしれない。ただ、先輩たちがこの数年で卒業したりコロナ禍で退団したりしてコントラバスパートが一度ゼロになってしまうと、先輩たちから教わることも出来なくなるので新入生とくに初心者は中々この楽器を選びづらくなるのだ。つまり、コントラバスの団員がいないから新しいコントラバスの団員が入らないという構図になってしまう。OBOGおよび地元のエキストラさんやトレーナーさんと協働してケアを丁寧にしないことには、大学オケのコントラバスパートの復活は相当に困難かもしれない。何か策を考えなければ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です