肌を震わせるものを求めて

しばらく立て込んでいて、ブログを更新できていませんでした。この間に、随分と沢山指揮のお問い合わせを頂きありがとうございました。こんなにこのページを見て下さっている方がいらっしゃったのだと、恐縮しつつも大変嬉しかったです。

さて、年末年始はイタリアでボローニャ歌劇場フィルハーモニー2017年度ニューイヤーコンサートのアシスタントをさせて頂き、無事に日本に戻って参りました。イタリアにいるあいだ、走り回りすぎてか、ランナーズ・ニーのように右ひざを痛めてしまったりもしたのですが、痛みを忘れるほど貴重な経験の数々をさせて頂きました。イタリアのオーケストラとご一緒させて頂いて感動するのは、あらゆる部分で「ウネる」というか「歌いまくる」ところ。そして、(当たり前と言えば当たり前なのですが)ヴェルディとかプッチーニとか、イタリアの作曲家の曲やオペラのギャロップなどを演奏したときには明らかに他の曲とノリが違うところです。演奏のなかに確実に言葉が聞こえてきて、踊りが見えてくる。そのほかにも書き始めればとめどないほど得たものがあり、また夏にはボローニャへ勉強しに行かせて頂きたいなと思っています。

帰って来てからは、上席研究員を務めている慶應義塾大学SFC研究所の関係で、鈴木先生のゼミナールの学生の卒論指導追い込みに奔走していました。昨年に鈴木先生からこのお話を頂いて、24名の卒論指導となったときはどうしようかと思いましたが、尊敬する先生から任せて頂いたからには、先生をびっくりさせるぐらいの成果を挙げたいと思い頑張ってみました。(もちろん、いちばん頑張ったのは学生さんたちですが)

全学生なんとか無事に期限内に提出して頂くことができて一安心です。締切間際はオフィスにこもって12時間ぶっ続けで終電まで、入れ替わり立ち替わりやってくる学生さんたちの指導をする、という感じで、テーマも違えば議論の運びもひとりひとり違うため、まるで乱取りをするような心持ちでした。資生堂広告の表象分析、ドローン業界の分析、CanonやPanasonicの企業研究。視覚と触覚の相関研究に、デューイの思想研究や生命倫理…。テーマも手法も多様なゼミということで、非常にハードではありましたが、自分だけでは決して立ち入ることのなかった分野をこの一年で沢山学ぶことができて、僕自身が一番勉強になりました。

音楽と同様、やるからには絶対に妥協したくなくて、直前までかなり厳しい指導をし続けたと思います。でも、ある学生さんが謝辞に書いて下さった「学問の醍醐味と感動を教えてくれてありがとうございました。」という言葉に、全て報われた気がしました。

すぐれた研究は、まるで素晴らしい音楽に触れたときのように肌を震わせるものです。僕が大学・大学院時代に恩師たちから教わったことはそこに尽きる気がします。それが一部なりとも伝わっただけでも、やっていてよかったと思えました。こんな機会を下さった鈴木先生にはひたすら感謝するばかりです。

 

口頭試問は、私の出身大学院の修士論文諮問スタイルを真似て、通称「裁判」形式でやりましたが、皆さん堂々としていて素晴らしかった。教育っていいな、と涙ぐむ思いでした。書き上げた卒論自体がこれからの人生で役に立つことは少ないかもしれませんが、執筆過程で得た思考の方法や、答えの出ない問いに粘り強く向かう精神は、きっと活きてくることと思います。一年間、大変でしたが、本当に楽しい時間でした。終わってしまうのが寂しいぐらいに…。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>