人間の変奏

イチローの引退試合に接する僥倖を得た。自己と戦い続ける職人の背中がそこにあった。その時間も感動的だったけれども、それ以上に、僕は引退会見の「ことば」に強く心揺さぶられた。

夢を言葉にすることの大切さ。自分をひとつずつ越えていくことの苦しみ。遠回りすることで自分に出会い、外国人になる経験を通じて他者の痛みや境遇に対する想像力を磨いてゆき、自己を発見するに至る。そして全ては、体験することではじめて立ち現れる。すべて、野球に限らず変奏すべきことばかり。現代の抱えている様々な問題が、野球というバックグラウンドから指摘されており、彼が見出したものは「人間」そのものだと感じた。言葉を何度も反芻する。果たして自分が今のイチローと同じ年齢になったとき、何を語りうるだろうか?

 

Last Modified on 2019年3月28日
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