二年連続でTEDxUTokyo@安田講堂に登壇してきました。昨年はスピーカーとして、今年は第一部のステージホストとしてです。登壇前には長いインタビュー記事も頂きましたので、ご紹介いたします。
まずインタビューはこちら。「形式への叛逆」と題して、昨年のTEDxUTokyo登壇のときに何を考えていたのかをしゃべりました。同時に、自分にとっての「パフォーマンス」や「創造」とは一体どういうものであるのかを語ったものになっています。
2023年の登壇では、三人のスピーカーの引き立て役として、ステージホストを務めました。最初に登壇した山田美奈子さんは、杉並区浜田山で文学×古着×喫茶「ほおずき」を主催される方で、深い身体感覚を持った方でした。山田さんとお話しする時間はどこか安心感があり、オープニング一発目にも関わらず、なんだか心がすっと落ち着いていくような感覚になりました。古着とは時間の洗礼を受けた衣服、と語るときの山田さんのあたたかい眼差しがとても印象的でした。
二人目に登壇された平井和佳奈さんは、格闘ゲーム「鉄拳」を主題に研究されているデジタルゲーム研究者。研究対象になりそうにないものが研究対象になるダイナミズムや、そのために知性と感性を日常から総動員されている様子がひしひしと伝わってくるお話しで、静かに皆さんの中に沁みるものがあったのではないかと思います。
身体、知性と感性と来て、三人目に登壇したのは下山明彦さん。東大で学士、芸大で修士、いまは慶應で博士課程に所属しつつ株式会社Senjin Holdings代表取締役を務めるという下山さんは、最近自分で行ったばかりの「プロジェクト」について話しながら、他人の力を借りるということがどれほど強いエネルギーを生むかについて話されました。彼自身の語りも力強いもので、心震わされるものがありました。
実は下山さんは、私が鈴木寛先生と2017年に立ち上げ今まで13期続けている東京大学教養学部「学藝饗宴」ゼミナールの第一期生なのです。ゼミから巣立ったあとは長らく会っていませんでしたが、まさかこうして安田講堂の舞台で再会を果たすとは、感無量というところがありました。彼にいくつかの質問をしながら、最後にちょっと挑発的に「いま、学と藝の距離は?」と聞いてみたところ、「同じものです。」と即答してくれたことに痺れましたね。そう、まさにそのように確信している人を育てたいということがこのゼミの目標の一つでしたから。
第一部のセッション(「轟く」)の締めには、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」の四楽章と五楽章の話をして、次のセッションに繋げさせて頂きました。雷の轟きがWonder/Wanderに、そして「重なり」になっていくのがこの交響曲ですから…。スピーカーの方々はもちろん、大勢が集まるイベントの運営が難しいなか、運営の学生さんたちは本当によく頑張っていたと思います。開催に関わった人々すべてにBravo(Bravi!)を贈ります。そして、二年連続で出演のお声がけを頂いたことに心から感謝申し上げます。