3月の音楽祭以降、久しぶりに福島の相馬子どもオーケストラで指導。パッヘルベルからメンデルスゾーン、ピアソラまで幅広い時代の曲に取り組んでもらいながら、フランス革命を軸とした音楽史と世界史、それから和声(カノン進行)の話をする。
自分と練習を一緒した子どもたちには、いわゆる「学」と「芸」、つまり勉強することと演奏することが離れたものでないことを実感してほしいと願う。メンデルスゾーンを演奏しながら19世紀のGrand Tourのことを、あるいはゲーテやヘーゲルについて知ることができるのだから….。
そういうふうに楽曲や作曲者のことに迫らねば、ただ音符をなぞっただけで、その作品の背景にある「文化」に触れたことにはならない。演奏するということは文化の水脈にJoinするということ。一問一答よりずっと豊かな方法でみんなは知を得ることができるはずで、楽器の練習に来たら「ついでに」歴史や言語が分かってしまうような、そういう時間を作り出したい。「学校のテストがあるから練習を休む」のではなく、「テストがあるから練習に来る」、そう思えるような時間にしたい。
それにしても音楽祭でバルトークやブラームスと格闘した成果あり。オケのレベルが明らかに向上。サウンドのパレットがぐんと色鮮やかになった。今日やった曲のひとつが、メンデルスゾーンが12歳の時に書いたString Symphony No.1。それを弾くのは、当時のメンデルスゾーンと同じぐらいの年の子どもたち。ピアソラの「フーガと神秘」は最後とっても良いノリと色気になって驚くほど。あの独特のリズムと熱気に魅せられ、みながdevoteしているのが良く感じられて嬉しかった。
心地よい疲れを得て外に出ると広がる夕暮れの田園。出会った時には中学生だった子たちが高校3年生になるのだなあ、と思うとしみじみ。新しい季節も色々な工夫を凝らして頑張ります。