9年目の福井大学フィル

福井大学フィルさんとの9回目の合宿でした。リハーサルはもちろん、学生指揮者さん向けに指揮のレッスンをすることにも注力。「指揮法」つまり情報伝達のための技術にはじまり、今年は指揮者としての心構えや楽譜の読み方なんかもしっかり伝えたいと思ってマル秘資料を作ってみました。学指揮あっての大学オケですからね!

合宿終わりはちょうどフェニックス花火の日だったので、壮麗な花火を見ることもできて満足。一方で、福井の駅前は9年間ですっかり変わって驚くほどです。はじめて訪れた時はこんな素敵なバスロータリーは無かったし、マリオット系列のホテルが出来るなんて思いもしませんでした…。

2024年の新幹線開通に合わせて変わりゆく駅前と、フェニックス祭りの変わらぬ賑わいを見ながら、この数年間のことをぼんやりと振り返っていました。福井という土地柄もあり、コロナ禍当初の数年間は福井で中々活動できない日々が続いたり、日本海フェスオケなど、ここまで数年かけて積んできた流れを一旦停止しなければいけなかったりと歯痒い思いもしました。

相当に労力をかけて諸々の施策をとっても、感染状況次第でたちまち活動停止に追い込まれてしまい、県外からの来訪者もあまり歓迎されなくなった状況に、自分がどこまで関わっているべきだろうかとも悩みました。

でも、ここで学生さんたちを残して離れるようなことはやっぱり出来なかった。これまで福井大学フィルで一緒した学生さんたちの顔を思い浮かべながら、コロナ禍で傷ついたこの団を立て直して再び軌道に載せるまでのお手伝いをするのが自分の使命だと思って採算度外視で向かい合ってきました。多くのカッコイイ大人たちから未来に向けてGiveする喜びを教わってきた身として、今度は自分がそれをする番だと思ったのです。

それが、今年は新入団員が20人近く入って、合計54人というコロナ前の団の人数にほぼ近いところまで復活し、こうして合宿まで出来ている。あの頃に思い描いた夢が現実になっています。もっとも自分が果たした役割は微々たるもので、ほとんどは学生さんたちの頑張りに拠るもの。褒められるべきはあの苦しみに立ち向かい続けた代の学生さんたちです。ともかく、守りたかった福井大学フィルの炎を未来に向けて繋いでいけて本当によかったなと、変わりゆく駅前を見ながらしみじみしました。

(2021年の定期演奏会。2020年の演奏会中止から復活まで持っていった学生さんたちの頑張りは凄まじいものがありました。中止に泣いた先輩たちの想いをみんなが背負って、鬼気迫る迫力がありました。)

私は福井大学フィルの常任指揮者という肩書きではありますが、その代の学生たちが一緒したい指揮者をその都度選べるようにと思って、あえて一年ごとの契約にしてもらってここまで来ました。ありがたいことに、10年目となる来年も学生さんたちから指揮のオファーを頂きましたので、新幹線の開通を福井で見届けることが出来そうです。

第二の故郷といっても良いほど好きになって通い詰めた福井。この街の文化芸術のさらなる発展のために、ささやかでも無力ではないと信じて、これからも自分に出来ることをやっていきます。そして、次の世代に向けてバトンを繋いでいきたいと思います。今年も福井大学フィルをどうぞよろしくお願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です