今年度も慶應義塾大学SFC研究所の上席所員を務めています。その関係で、本日は湘南台にて、ボスである鈴木寛先生のゼミ生の卒論指導をしてきました。関心も内容もさまざまなゼミ生たちが入れ替わり立ち代わり来てくれて話して下さるテーマの数々。それを真摯に聴き、全力で返していくのはとても楽しくて、まるで自分が1000本ノックを受けているような気になります。
SFCというのはやはりその学部の性質上、出自や関心も多岐に渡っています。一方で、第一線で活躍する若きバンドマンがいらっしゃったり、「グルーヴ」に対する研究や音楽ビジネスについての研究など音楽に関わる研究をしている方たちも多く、日々音楽の世界に関わっている身として学ぶところも多くありました。
面白かったのは、「おそらく木許さんの専門と全く関係ないと思うんですけど…花火についての研究をしています。」と相談しにきてくれた学生さんがいたこと。指揮者として毎日を過ごしているという点だけ見るとそうかもしれませんが、実は専門と違うも何も、私の大学院時代の専門は「光」をめぐる感性についてであり、その過程で花火についても論じたのです。花火という芸術が何であるのか(もちろんそれは研究エリアであったフランスが主ですが)というのは相当に興味を持っていたことであります。そのことをお話しすると、学生さんは多いに驚いていらっしゃって、花火とプロジェクションマッピングの関係など、かなり白熱した議論をすることができました。
全員あわせると何時間話し続けていたのか分かりませんが、とにかく喉が枯れるまで、そして終電まで皆さんとご一緒して、帰路につくことに。「教育」というと今の私には大袈裟にすぎますが、こうして若い人たちと話し、議論し、共に時間を過ごすことがどれほど大切かを実感しますし、幸いにして私はこういうことが好きなようです。非常にいい時間を過ごしました。