東洋大学管弦楽団第94回定期演奏会終演!

年末は、三つの大学オーケストラの演奏会に走り回っていました。2023年12月にベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付き」で共演した東洋大学管弦楽団と今度はカリンニコフの交響曲第1番。2023年5月にベートーヴェンの第6番「田園」で共演した埼玉大学管弦楽団と、今度はラフマニノフの交響曲第2番。そして(本番は1月ですが)福井大学フィルハーモニー管弦楽団とチャイコフスキーの第5番。重量級の曲を抱えて全国走り回る年末となりました。まずは東洋大学管弦楽団から!

わたしがカリンニコフを偏愛しているのは、以前のブログにも書いた通りです。一時期この作曲家にのめり込み、とくに交響曲第1番が彼にとって一体なんであったのか、彼の手紙や当時の状況を探ってまとめたことがありました。ニコ中(=カリンニコフ中毒)としては一年に一回は振りたいぐらいの曲ですが、彼がこの曲を作った年齢でこの曲を初めて指揮し、彼が亡くなった年齢(35歳)でもこの曲を指揮しました。そしていま、彼の生涯よりわたしは長く生きてしまったわけですが、一方では今回はじめてこの音楽と一体化することができたという直感を得ました。リハーサルで指揮していても、まるで自分がその場で作曲していくような感覚になれたため、今なら出来ると確信し本番は暗譜で指揮することにしました。

カリンニコフの交響曲第1番がなぜこれほど大学オーケストラに愛され、相性が良い曲なのか。それには色々な理由が考えられますが、一つには、この曲が循環主題という構成をとっていることが大きいように思います。

四楽章には、これまでの三楽章の記憶が走馬灯のように駆け巡っては消えるシーンがあります。一年間をかけて練習するうちに、前に弾けなかったところが弾けるようになっていく過程を味わうことになる。そしてこの四楽章の構成を、私は大学の四年間に重ねてしまいたくなります。仲間たちや先輩後輩たちと過ごした時間を振り返りながら、途中に技巧的な速弾き(これは練習すれば何とかなります。学生オケの皆さんは最終的にここも暗譜で弾けるようになりますね)を経て壮大なクライマックスへと駆け抜けていく。美しいメロディのみならず、そんな構成が学生たちの心を打つのでしょう。

私の十八番で、仲間たちと歌い騒ぐ日が戻ってきた、という喜びを込めたシュトラウスの「騎士パズマン」チャルダーシュ、そしてクリスマス直前ならではの「くるみ割り人形」組曲もいい演奏になったと思います。アンコールはアンダーソンの「クリスマス・フェスティヴァル」をとっておきの「遊び」つきで!東洋大学管弦楽団さんとはまた共演することになっていますので、ぜひご期待ください。

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