ブラジル大使館でのヴィラ=ロボス生誕130周年記念展覧会、盛況のうちに最終日を迎えることができそうです。今の自分に来る限り、全身全霊でディレクションとデザインをさせて頂きました。沢山の方々の協力とご支援を頂いて、独特のアウラの漂う空間に仕上がったと思っています。
考えてみれば、はじめてヴィラ=ロボスを演奏したのは大学三年のとき。それから六年後、自分が指揮の道を歩き、大使館で展覧会をさせて頂いているとは想像もしませんでした。村方千之の指揮するヴィラ=ロボスに触れることがなければ、今の人生はなかったと思います。
この半年間、日本語・ポルトガル語の山のような資料をヴィラ=ロボス協会理事一同整理し続け、亡き師の成した仕事の膨大さに圧倒されました。その成果は計18000字の渾身の書き下ろしパネルに結実させることができ、日本におけるヴィラ=ロボス研究史上、メルクマールとなる展覧会に仕上がったことを確信しています。
ある指揮者が、どうしてひとりの作曲家に特別に深くのめり込んでいったのか。ブラジルの何を見て、ブラジルの何に心奪われたのか。40年分の資料を紐解き、それを解明していくことは、まるでひとつの小論文を書きあげるようなスリリングな営みでした。2016年に東京文化会館でヴィラ=ロボスコンサートを指揮させて頂いたのに続いて、今度は文章で、ヴィラ=ロボスの魅力をお伝えできればと願って今日この日まで走ってきました。
好きだから、という気持ちは人を深く動かす。情熱と好奇心をいつまでも持って生きたい。ラーゴ駐日ブラジル大使とはそんな話をしていました。この半年間、展覧会のことにかかりっきりで毎日を過ごしていましたので、ここで言葉にして纏めるにはまだまだ時間がかかりそうです。
関わって下さった方々、御協賛を頂きました株式会社イマイさま、大使館のみなさま、共に作り上げて下さった日本ヴィラ=ロボス協会のみなさま、本当にありがとうございました。