福岡にて、プーランクとプロコフィエフ

週末は福岡でヘリクリサムさんとリハーサルでした。プロコフィエフの5番、とんでもない音楽!どの楽章も凄まじいけど、3楽章の和音のプログレッションはもはや正気の沙汰とは思えません。なんという響き!古典交響曲でドミソミ・ドミソミドと書くこともできればこんなビルドアップも…天才という言葉では到底足りません。

2年前に九州大学の芸工オケの定期演奏会を指揮して以来、久しぶりにご一緒する方もたくさんで幸せでした。プーランクとプロコフィエフ。大戦前後を生きた偉大なる二人の作曲家。プロコフィエフは織物を一度ほどいて再び織り上げるように、プーランクはフレージングに拘り自然と彼の世界が立ち上がっていくようにリハーサルすることを心がけました。

プロコフィエフの5番を動かすには特別に膨大なエネルギーと繊細な見通しが必要になります。終わりながら始まる複雑な構造。余程計算されていないと各声部が噛み合わないのですが、アーティキュレーションを活かしてうまく動かせば、入り組んだリズムがすぱっとハマって長大なラインが形成されます。その瞬間は鳥肌モノで、初回リハーサルにも関わらずその魅力の一部をお伝えすることができたかと思います。練習の様子をインスペクターの八木さんが纏めてくださっていましたのでぜひご一読ください。

熱意に満ちた皆さんと音楽する時間は本当に幸福でしたし、懇親会でも大変な幸福を味わいました。あの定期演奏会の「遠き王女」や「牝鹿」そしてプロコフィエフの「7番」が忘れられなくて…。と、皆さんが焼酎を傾けながら熱を帯びて話すのを聞いていると、指揮者冥利に尽きるなと思えました。

今回も相当にハードなプログラムですが、そこに一貫する背景や哲学がきっちりとあって、僕はとても好きです。さすが芸工オケのOBの皆さんが立ち上げただけある。奏者も物凄い熱量を持った方ばかりで幸せです。九州料理、沖縄料理と毎日懇親会にお誘い頂きありがとう!めいっぱい音楽してめいっぱい美酒美食を楽しむ、いい週末になりました。

帰り道は新機材A350で帰京。レニングラードフィルとのプロコフィエフ五番で圧倒的な演奏を残したヤンソンスの訃報に接して涙しながら。何度も至芸を見せて頂き、音楽の流れのあり方を学ばせて頂いた憧れのマエストロ。雨上がりの夕陽が胸に刺さりました…。

ヘリクリサムさんと!
ヘリクリサムさんと!

絶品!水炊き!

雨上がりの羽田空港
雨上がりの羽田空港

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