師匠・村方千之の生誕100周年コンサート。オール・ヴィラ=ロボスプログラムでの演奏会、ご指名を頂き指揮させて頂きました。40年にわたる門下生の方々が聞く中で指揮する演奏会は独特の緊張感がありましたが、素晴らしい演奏者の皆様に支えて頂き、渾身の演奏ができました。
ブラジル風バッハ一番の二楽章、先生と過ごした日々のことが一気に思い出されて、指揮しながら唇を噛み締めました。夏の暑い日、先生と共に中学校の吹奏楽部の指導に行ったな…君のなかに<田園>が流れていない!と一喝されてレッスンが1分で終わったんだったな…まだ<ブラジル風バッハ>なんてレッスンに持っていく段階でないのに無謀にも持っていって、「そうじゃないなあ。でも、いま分からなくてもいつか必ずわかる日が来る」と微笑まれたんだったな…と。
門下で師を偲んで集まる機会としてはこれが最後となる一日。天国で先生は聞いてくださっていたでしょうか。「まったく仕方ないやつだなあ」と苦笑いされていたかもしれないけど、先生の指揮するヴィラ=ロボスに触れなければ私は指揮の道へ歩むことはありませんでした。
未熟ながらも今の自分にできる限りとして、あの日の演奏を亡き師に捧げます。(写真はブラジル風バッハ5番のソロを見事に歌い上げられたフルーティストの村野さんから頂きました。最高にセンチメンタルでダンサブルな5番になりました!)
