マーラーについて、ずっと考えていたことに結論を得る。彼はソナタ形式において「再現」したのでもなければ「回想」を導入したのでもない。彼は滅び、生き直すという、「復活」を求めたのだ。彼は伝統的な形式に永劫回帰を組み込んだ。
どの時間にも属さないような、マーラー独自の宙吊りの時空。逆走するような時間感覚。それは陶酔やノスタルジーという概念で捉えるには何か違うと思い続けていた。
「生まれ出たものは、必ず滅びる。滅びたものは、必ずよみがえる!」マーラーの2番「復活」の思想は2番に限らず彼の中心にあり続けたのだ。新鮮で、輝かしくて、壮絶に死に絶え復活するような響きを求めたい。しかしそれを表現し、鳴り響く音として実現するためにはどうやればいいのだろう?
オーケストラにとっても困難な要求であることはわかっている。テンポの早い、颯爽としたマーラーにするほうがやりやすい。でも自分の頭に鳴り響くのはそういうものではなく、1930年頃の演奏に見られたような、ひたひたと迫ってくるような音なのだ。機械的なものの真逆にある、恐ろしく人間的な何か。そのためには今あるものではだめだ。新しい何かを獲得しなければ…。