【プログラム・ノートより】アストル・ピアソラ「フーガと神秘」

5月22日の東京文化会館コンサートのために執筆したプログラムノートを掲載致します。「パリの痕跡」というテーマを浮き彫りにするような形で執筆することを目指したものです。あくまで他のプログラムノートとの比較・連関によって成り立つ解説になっています。また、コンサート当日のプログラムノートは、こ こに掲載させて頂くものから随分とカットした短縮版になっています。転載歓迎ですが、ご一報頂くか出典として本サイトに言及頂けたら幸いです。

「パリの痕跡-チェロ・アンサンブルと室内楽の午後-」

東京文化会館でコンサートを指揮させて頂くことになりました。5月22日14時から、東京交響楽団フォアシュピーラーの黄原先生をコンサートマスタに迎えたチェロ・アンサンブルと、ヴィラ=ロボス「ブラジル風バッハ一番」を中心としたコンサートを指揮します。ひとりでも多くの方々にお聞き頂ければ嬉しいです!

私の「青春漂流」

東京大学ドリームネットさまからオファーを頂き、駒場キャンパスで講演会と対談をさせて頂くことになりました。対談の御相手は、学生時代にお世話になった特任准教授の岡田晃枝先生です。学生時代の経験や指揮者という職業を志した経緯などを語ってほしい、ということでしたので、立花隆先生の名著で私が愛してやまない一冊である『青春漂流』を講演会タイトルに引用させて頂きました。

別れと出発

春は別れと出発の季節です。今年はとくに、あまりにも沢山のことがありすぎて、気持ちの整理がつくまでに随分と長い時間を必要としました。一つ一つの別れについて書き始めればキリがなく、そのどれもが印象的なものなのだけれども、ここではある一人の人との別れについて書いてみようと書いてみようと思います。それは、大学生のころから三年間にわたって指揮のレッスンをしてきたお弟子さんのことです。

4度目のマニラ、そしてセブへ。

Worldship Orchestraの2016年度2月マニラツアー、全5公演と共に無事に終了致しました。同行して下さったYasutaka Eidaさんが撮って下さった写真を見て頂ければ、鮮やかにその瞬間の音が聞こえてくるのではないかと思います。UUUオーケストラとあわせると、マニラで指揮するのは4回目。Rizal Parkで指揮するのも4回目です。

存在の天使たち

ブラームスのブラームスらしさとは何だろう。触れた人なら誰でも少なからず味わうような、確かに存在する「ブラームスらしさ」。しかし言葉にならない「なにものか」。「ブラームスが分かるようになるのは80歳ぐらいだな」と笑っていた亡き師の大きな掌を思い出す。いまここで青い私がブラームスを論じることができるなどとは到底思えない。しかしそれでも、ある演奏が与えてくれた感動に突き動かされ、筆の向くままに言葉を綴っておく。

拍とポエジー

2月9日に愛知県立芸術大学で初演する現代曲の譜読みをしている。年明けから勉強し始めていて、未だ十分に頭の中で音が鳴り切らなかったのだけれど、背景に置かれているマラルメの詩を楽譜に書き込んでみた瞬間、突然音が鳴り始めた。作曲者のこだわる「音響の発展」とはそういうことだったのか、と腑に落ちる。音響で描き出された時制の転換。いい曲だな…と思える。