カリンニコフ研究 Part1(手紙と生涯)

12月に指揮する福井大学フィルハーモニー管弦楽団のメイン曲がカリンニコフの交響曲第1番なので、ここ数ヶ月ずっとカリンニコフを勉強している。楽曲の和声・構成的なアナリーゼはもちろん、カリンニコフ自身の手紙を探したり、正岡子規とカリンニコフの運命的な一致に驚かされたり、頭の中のほとんどがカリンニコフに占められるような日々(友人曰く「ニコ中」)を過ごしている。

指揮を教えるということ

昨夜の指揮レッスンはとてもメモリアルな一日となった。亡き師より仰せつかり1から教えさせて頂いたお弟子さんが、初級課程を2年間かけてついに修了したのだ。折しもその日は私の28歳の誕生日。初級課程の最後の課題としていたギロック「叙情組曲集」を振り終えたあと、彼女は唐突に3拍子を振り始め、サプライズでハッピーバースデーを演奏してくれた。少し照れくさそうな表情でハッピーバースデーを指揮してくれる彼女を見ながら、今日この日まで彼女が音楽を好きでいてくれて良かったと心から思った。なぜならば、それこそが亡き師が私に教えて下さったものであったからだ。

三本の指揮棒

フィリピンのマニラ・セブと巡って一ヶ月続いたコンサートツアーが終わったあと、セブ島にあるSeven Spirit音楽教室の子ども達に、僕の使っている指揮棒を三本渡した。最初から渡すつもりでいたわけではないのだけれども、二月に訪れた時に指揮を教えた子どもと、今回の指揮者体験コーナーで見事な指揮を披露してくれた子たちにせがまれて譲ってしまった。

UUU2014冬の終わりに

UUUオーケストラ2014冬に参加した際の「報告書」に寄稿した文章を掲載致します。現在僕はUUUオーケストラの指揮から離れておりますが、3期・4期と指揮させて頂いて、誇張抜きに人生が変わるような経験をさせて頂きました。この文章が今後のUUUオーケストラに参加を考えている人の背中を少しでも勇気づけるものになれば…。これからもUUUオーケストラのさらなる発展を心より応援しています。

ラロ、ボードレール、ヘルダーリン

もう長い付き合いになるチェロの友人が卒業試験で弾くラロのコンチェルト。試験前に一度聞いてほしいということで合わせに一緒させて頂いたのだけれど、最後の通しで僕は圧倒された。はじめてオーケストラで会ったころに自信無さげにソロパートを弾いていた彼女はもういない。自分の世界を一生懸命に創り出してそこに入り込もうとする、ある種の迫力を備えたチェリストがいた。しかし同時に、音楽に対して真っ直ぐに向き合おうとする姿勢は昔と変わっていなかった。