夕焼け

夕焼けがとても鮮やかで、ただそれだけのことなのだけど、そのことに感動せずにはいられない。そしてまた、この場が、<ただそれだけのこと>に驚きを持って綴れるような場所でありたいと思う。神と共に、幸せもきっと小さきところに宿る […]

吉行淳之介の魅力

小さい頃から吉行淳之介の作品が好きだった。「砂の上の植物群」「夕暮れまで」「闇の中の祝祭」などなど。陰りを帯びた世界の中で描かれる独特の危うさが好きだった。吉行淳之介を読んでみよう、と思い立ったのは、原田宗典氏の『おまえ […]

指揮を教えるということ

昨夜の指揮レッスンはとてもメモリアルな一日となった。亡き師より仰せつかり1から教えさせて頂いたお弟子さんが、初級課程を2年間かけてついに修了したのだ。折しもその日は私の28歳の誕生日。初級課程の最後の課題としていたギロッ […]

三冊をめぐって

あるインタビューでおすすめの本を三冊紹介してほしい、ということだったので、かなり悩んだ末に、コクトー『僕自身あるいは困難な存在』(La Difficulté d’être)と、リルケ『マルテの手記」(Die Aufzeichnungen des Malte Laurids Brigge)と立花隆『青春漂流』の三冊を挙げました。コクトーは僕の人生を大きく動かした一冊。今までのブログ(http://kenbunden.net/wpmu/kbd_kimoto/)でも何度も取り上げてきましたし、色々なところからインタビューを頂いても必ず挙げるものです。「射撃姿勢をとらずに凝っと狙いを定め、何としてでも的の中心を射抜く」など、頭の中から離れなくなる言葉と強靭な思考で溢れています。

弔辞、あるいは出発のクレド

ご遺族の方々のご承諾を頂きまして、我が師・村方千之を「偲ぶ会」(2015年4月29日、於:京王プラザホテル)にて読ませて頂いた「弔辞」をここに掲載させて頂きます。村方先生がレッスンしていらっしゃった50年間の歴史を考えれば全くの若輩者に過ぎない私が弔辞を読ませて頂いて良いのかどうか、最後まで煩悶致しましたが、そこで生身の人間が声にして読むという、私の最後の「演奏」を先生に聞いて頂きたいという思いで、この文章を執筆させて頂きました。この「演奏」が、天国の亡き師へ届くことを祈ります。