カリンニコフ研究 Part2(交響曲第1番と同時代の彼の楽曲、特に歌曲について)

Part1では、カリンニコフ本人の手紙のリーディングを通じて、交響曲第1番執筆時の彼の状況や思考を立上がらせることを試みた。ロシア語からの翻訳ということで私には十分に訳しきれなかったところが多かったかもしれないが、交響曲第1番に彼の人生が深く刻まれているということは疑いないものになったように思う。Part2では、交響曲第1番を作曲していたころと並行する時期の彼の楽曲を見ておきたい。とりわけ、ピアノ4手による「交響曲第1番の主題によるポロネーズ」(Полонез на темы Симфонии No. 1)、および歌曲(たとえばアレクセイ・プレシチェーエフの詩によるНам звёзды кроткие мерцали)が重要になるだろう。

一人の男が人生を音楽に捧げるとき:ヘルマン・シェルヘンの肖像

カリンニコフの一番を勉強するうちに、巷に出回っているこの曲の録音はおそらく大体聞いたように思う。中でも飛び抜けて素晴らしいと思ったのがヘルマン・シェルヘンの録音だ。シェルヘンは何となく「奇抜な」解釈という印象や先入観を持っていて、カリンニコフ以外の録音についても自分から聞くことはあまり多くない指揮者だった。そして、このカリンニコフの録音を聞いて、そんなふうに思っていた自らの不明を強く恥じた。なんと明瞭で緻密な演奏だろうか!

カリンニコフ研究 Part1(手紙と生涯)

12月に指揮する福井大学フィルハーモニー管弦楽団のメイン曲がカリンニコフの交響曲第1番なので、ここ数ヶ月ずっとカリンニコフを勉強している。楽曲の和声・構成的なアナリーゼはもちろん、カリンニコフ自身の手紙を探したり、正岡子規とカリンニコフの運命的な一致に驚かされたり、頭の中のほとんどがカリンニコフに占められるような日々(友人曰く「ニコ中」)を過ごしている。

日刊マニラ新聞社さま「ナビマニラ」に掲載頂きました。

2015年2月のマニラ交響楽団&ワールドシップオーケストラ&トンド・チェンバーオーケストラとの演奏について、以下のページに掲載頂いておりました。ツアー最終日のRizal Parkでの演奏になります。素敵な写真と共にご紹介頂いておりますので、どうぞご覧下さいませ。また9月にここで指揮させて頂くのが楽しみです。

http://navimanila.com/…/japane…/1337-wso-band-in-luneta.html

ラロ、ボードレール、ヘルダーリン

もう長い付き合いになるチェロの友人が卒業試験で弾くラロのコンチェルト。試験前に一度聞いてほしいということで合わせに一緒させて頂いたのだけれど、最後の通しで僕は圧倒された。はじめてオーケストラで会ったころに自信無さげにソロパートを弾いていた彼女はもういない。自分の世界を一生懸命に創り出してそこに入り込もうとする、ある種の迫力を備えたチェリストがいた。しかし同時に、音楽に対して真っ直ぐに向き合おうとする姿勢は昔と変わっていなかった。