「パリの痕跡-チェロ・アンサンブルと室内楽の午後-」

東京文化会館でコンサートを指揮させて頂くことになりました。5月22日14時から、東京交響楽団フォアシュピーラーの黄原先生をコンサートマスタに迎えたチェロ・アンサンブルと、ヴィラ=ロボス「ブラジル風バッハ一番」を中心としたコンサートを指揮します。ひとりでも多くの方々にお聞き頂ければ嬉しいです!

詳細は東京文化会館のウェブサイトからも御覧頂けます。「パリの痕跡」というタイトルなのにブラジル風バッハ?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ヴィラ=ロボスがブラジル風バッハを書き始めたのは、パリに留学して帰って来てからなのです。それはパリに影響を受けたというような単純なものではありません。パリで出会った西洋音楽の枠組み(もちろんヴィラ=ロボスはパリ留学前から西洋音楽の枠組みを知らなかったわけではありません)やパリで出会った芸術家たちとの交流が、ブラジル風バッハに、あるいは「フーガ」という形式に痕跡を留めているように思われるのです。「痕跡」というコンサートのタイトルとしては珍しい単語を使わせて頂いたのはそういう意図からであり、ヴィラ=ロボスの「民族性」を強調するのではなく、パリ-フランスの音楽と並べることによって、そのオリジナリティが自然と浮き彫りにされるような、そういうプログラミングを目指しました。本コンサートには、駐日ブラジル大使館からの御後援も頂いております。

 

東京文化会館は私にとって憧れの場所。私に指揮を学ぶことをすすめてくれたハイドシェックが立ったステージであり、いつかここに立ちたいと願い続けていたステージでもあります。そしてこのヴィラ=ロボスの音楽が、私を師・村方千之のもとに導いてくれました。自然で大らか、飾らないけれども洒落ていて、心に響いてくること。亡き師が教えてくれた音楽作りはそういうものであり、ヴィラ=ロボスの音楽というのは、まさにそれを体現するものであるように思えます。今回機会を頂いた事に感謝して、いまの私の全てを出し切ります。初夏の陽気の気持ちよい頃、どうぞ上野に足をお運びください。

(チケットは本ウェブサイトのcontactページからご連絡頂いてもお取り置きさせて頂きます。)

パリの痕跡表 パリの痕跡裏

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