日本・イタリア国際協同制作オペラ「道化師」(I Pagliacci)

色々なご縁を頂いて、2015年9月の中旬に姫路城・京都国立博物館・オペラシティで開催が予定されている日本・イタリア国際協同制作オペラ、レオンカヴァッロ「道化師」に、スタッフとして関わらせて頂くことになりました。

これまでオペラを指揮したことがない私としては、このような機会に関わらせて頂けるだけでありがたいことです。オペラ自体は昔からとても好きで、学生時代に新国立劇場にアカデミックプランで通い詰めたぐらいだったのですが、作り手の方から関わらせて頂くのはこれがはじめてになります。可能な限りリハーサルを見学させて頂いて、また、オペラを成り立たせている音楽以外のこと(たとえば輸送の手配であったり、舞台裏のあれこれであったり、演出のことであったり…)をしっかりと学び、いつか自分がオペラを指揮するときに活かせるように、そして何よりも本公演の成功に少しでも貢献できるように、裏方として走り回りたいと思っています。

本公演の企画をしているのはさわかみオペラ芸術振興一般財団法人という財団です。色々とお話を伺って、オペラを安価で身近なものにするため、チケット代やコストを切り詰めて、しかしクオリティの高いものを届けようとするそのコンセプトに共感致しました。しかしそれ以上に私がいいなと思ったのは、コンサートホールに限らず、姫路城や京都国立博物館といった「野外」でオペラをやるというところにあります。私自身、これまでに駒場東大キャンパスマニラのリサールパーク丸ノ内KITTEの博物館などで演奏会を企画したり指揮したりしてきました。

もちろん、素晴らしいホールの響きは本当にかけがえないものであって、ホールで演奏することも大好きなのですが、いわば路上ライブや公園でのお祭りのように、即興的に音楽がはじまって皆が笑顔になるような瞬間がとても好きなのです。そして、いわゆるコンサートホールではない空間やそこにある建物の力を借りて、場と音楽が触発することによって立ち上がる唯一無二の雰囲気にいつも惹かれてきました。その意味において、今回、「姫路城」という場、日本が誇る文化遺産でオペラを実施するということには、どうしようもなくワクワクせずにはいられません。ましてやそれが自分の地元の近くであるということには、不思議な偶然すら感じてしまいます。

裏方をやるにもスコアを把握しているべきですから、「道化師」のスコアの勉強もはじめてみました。オペラのスコアを勉強するのは、「こうもり」「カルメン」に続いてこれが三冊目です。と同時に、この機会にと思いイタリア語も本格的にはじめてみました。これまで勉強してきた言語のなかでも、フランス語・ポルトガル語・ラテン語の知識が随分役立つなあという印象で、勉強するのがとても楽しく思えています。たくさんの人と一緒に一つのものを作り上げる、という経験が大好きな身としては、オペラ(まさに総合芸術!)というのはピッタリな営みなのかもしれません。

 

花の道化師
花の道化師(Lumix GH4+Nocticron 42.5mm)